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高低差のある住宅街。敷地条件を逆手に取った光と抜けのある住まい

札幌市内の閑静な住宅街。緑が生い茂る公園に面した場所に、Yさんご一家の住まいは立っている。黒いガルバリウム鋼板の外壁と2つの片流れ屋根がアクセントになるスタイリッシュなファザードが印象的だ。

長いマンション暮らしに終止符を打ち、新築を検討したYさんが願ったのは、「普通ではない家にしたい」ということ。購入した敷地は左右・後方に住宅やマンションが立ち並び、開いているのは道路に面した公園側のみ。さらに高低差のある敷地で、立地条件は良いものの建築条件としては決して容易な環境ではなかった。

ハウスメーカーや建築家、工務店の話を聞きながら依頼先を検討したYさんご夫妻。「敷地の高低差を造成工事で平らにする提案が多くを占めていて、想定よりも工事費がかさんでしまった。建築家からの提案はデザイン性が非常に高く魅力的だったのですが、デザイン費や外部に発注する施工費などを合わせると予算的に実現が難しいと感じていました」と振り返る。そうして数社で検討を重ねた結果、意匠や予算、工務店ならではの施工力など、総合的に考えて理想に近いと感じたのがスター・ウェッジだった。

2024年8月に完成した新居は、玄関ホールにステップを設置。内部へと誘うアールの壁とともに床レベルの変化が奥行きや広がりをもたらすプランで、造成工事を必要とせず、敷地の高低差を豊かさに転換した最適解だ。

1階はガレージや愛車を眺める書斎、長女の個室で構成している。書斎は床レベルを下げてガレージと高さを合わせたこもり感のある空間。造作の棚が仕掛け扉のようになっていて、趣味のスキー板などを保管する大容量の収納庫を経てガレージへと抜けるようになっている。

2階は公園の緑に向かって大きく開くLDKと寝室、水まわりを配置した。上下階をつなぐ階段は、腰壁にガラスを採用。行き止まりのない視線が開放感をもたらすだけではなく、愛犬の落下防止にもつながっている。階段への侵入を防ぐために2階にスライド式のゲートを造作したり、床材は足に負担をかけない滑りにくい特殊塗装が施された天然木を採用するなど、愛犬との快適な暮らしへの配慮も随所になされている。

暮らしに必要な要素を2階に集約しているため、長くマンション暮らしをしていたYさんご夫妻が便利と感じていた「ワンフロアで完結する暮らし」はそのままトレース。リビングのテレビボード裏が大容量のウォークインクローゼットになっていて、洗面台、洗濯室、浴室と水まわりが結ばれており、生活感をLDKに持ち込ませず、なおかつ洗濯に関わる一連の動作が完結できる動線で、暮らしを快適にアシストしてくれる。

キッチンは回遊できる大容量のパントリーを収納の背面に設置。キッチンとダイニングは横並びとし、配膳や片付けをスムーズに促している。ダイニング・キッチンとリビングは、公園を捉えた広いテラスを囲むようにL字に配置。人が行き交う日中は、外からの視線を遮りながら内部からは景色を望むことができるように、バーチカルブラインドで角度を調整している。テラスには、ダイニング・キッチン側、リビング側の双方からアクセスが可能で、天気の良い日は公園の緑を眺めながらBBQを楽しむなど、Yさんご一家にとって大切な居場所の一つになった。

公園のある北側以外は住宅やマンションに囲まれているYさん宅。家族が集うリビングと、寝室は天井を上げて上部からの採光を計画。明かり取りのためFIX窓を設けた片流れ屋根は外観のアクセントにもなっている。周辺を囲む建物に遮られずに、光を室内に呼び込み、明るく心地の良い空間を実現。キッチンの天井、リビングのテレビボード、構造柱には同じ木を張り、スタイリッシュさに木の温もりを添えた上質な空間に仕上がっている。

敷地を読み解き、意匠、機能、コストからなる「デザイン力」と、理想や要望に寄り添う包容力で叶えたYさん宅。住宅街ながらも的確に光を得る明るい住まいで、愛犬とご家族が新たな時間を刻み始めている。

POINT

設計のポイント

  • 敷地の高低差を生かした床レベルの変化
  • 公園の緑を享受する2階LDK
  • 視線に行き止まりをつくらないガラスの腰壁を採用した開放的な階段
  • リビングと寝室の天井を上げて、片流れ屋根のFIX窓から光を得る
  • パントリーやウォークインクローゼットなどのバックヤードを回遊式に

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