STARR WEDGE 夏祭り 2018 Report vol.3
【ワークショップ1】では、旅先での一瞬の出会いを記録し続ける写真家、佐々木育弥さんが、光を大切にした撮影術を、自らの作品などを教材にわかりやすく解説。
佐々木さんが過去に撮影した作品と、家族の日常をより鮮やかに、楽しくカメラに収めるテクニックの数々は、新しい写真の楽しさも伝えてくれました。
後半にはその応用編として、ケミカルライト(サイリューム)を用いたライトペインティングに親子で挑戦。照明を落とした会場からは「面白い」「お絵描きみたいだね」と楽しげな親子の会話が聞こえてきました。佐々木さんのサポートで完成したカラフルで幻想的な作品は、家族の夏を彩る思い出深い1枚になりました。
Recipe-2「HITOTABI/一度・人旅」
大学卒業後、建築設計デザイン事務所に入社。その後、写真を通してできる「人とのつながり」に心を打たれ 海外を放浪しながら独学で写真活動を開始。旅先での一瞬の出会いを記録する「ひとたび 一度・人旅」をライフワークとする。札幌市在住
www.ikuyasasaki.com
www.instagram.com/ikuyasasaki/
私は、旅に出て、本当にたくさんの人たちと出会いました。カメラを通して、たくさんの旅人たちや現地の人たちと言葉を交わし、時には言葉も超えて心を交わしました。その中でも大切なのは数字ではなくて、一緒に過ごした時間の濃さなんだと思います。日常のサイクルの中で過ごしているだけでは交わることの無かった人生が、旅に出ることで交差します。そうやって、いつもの自分の行動範囲から一歩踏み出したところで交差する「出会い」というのは、とてもかけがえの無い物だと、私は感じています。
旅先の屋外でも室内でもスマホでも、私が写真を撮る時に大切にしているのが「光」です。光が写真にどんな影響を与えるのか知っているだけで劇的に素敵な写真が撮れます。難しく聞こえるかもしれませんが、光の向きは大きく分けて順光・逆光・サイド光の3つです。被写体に対して光が正面から当たっているのか、後ろからなのか、横からなのか。これらの光を意識することで、同じものを撮影しても印象が全く異なってきます。
最近の自分のトレンドでもありますが、横から入るサイド光で撮るケースがとても多いです。光は自然光が最高の照明です。人物やモノがきれいに映るのは、やや斜めからのサイド光が最適だと思っています。お子さんや料理などを撮影したいと思った時は、室内の電気を全て消して、窓辺近くの直射を避けた場所で撮影してみてください。横から柔らかく入る自然光は、ストロボの知識がなくても、とてもきれいな写真が撮れますのでぜひ試してみて下さい。
写真は何が正解ということはありません。難しいテクニックを駆使したり高い機材を使った写真が良い写真とも限りません。写真を撮るうえで一番大事なのは、気持ちで撮ることです。すごく曖昧なことかもしれませんが、これはとても重要です。撮影される人の気持ち、撮影する人の気持ち、そしてその周りの雰囲気が写真には入ってきます。好きな光を探して路地を歩き続けてみたり、いつも過ごしている家で、なんでもない光景を撮ってみたり。写真にすると、なんだかその日々の積み重ねが大切に思えてきたりします。
生きている街の中で、同じ風景に出会うことは二度とありません。そんな一瞬を逃さないような一日に、そしてこれからも、私自身も旅を楽しみたいと思います。